この記事の内容
「ナイトワークの収入って確定申告が必要なの?」「昼職の会社にバレませんか?」——面談で最も多い質問のひとつです。ここでは、北新地・ミナミで働く方が実際につまずくポイントを、順番に整理します。
なお、この記事は一般的な仕組みの説明です。個別の判断は税務署か税理士に確認してください。
まず押さえる:あなたの収入は「給与」か「報酬」か
昼職のアルバイトと決定的に違うのがここです。
キャバクラ・ラウンジ・クラブの多くは、キャストへの支払いを 給与ではなく「報酬」 として扱っています。所得税法上、ホステス等に支払う報酬は源泉徴収の対象で、店は支払いのたびに一定額を差し引いています。
| 給与扱い | 報酬扱い(多くの店) | |
|---|---|---|
| 所得の区分 | 給与所得 | 事業所得または雑所得 |
| 給与所得控除 | 使える | 使えない |
| 経費 | 原則計上できない | 実費を計上できる |
| 源泉徴収 | 給与の税額表による | (支払額 − 5,000円×日数) × 10.21% |
| 年末調整 | 店がしてくれる | されない(自分で確定申告) |
自分がどちらなのかは、明細に「報酬」「源泉徴収税額」と書かれているか、店に直接聞けば分かります。面接同行時、スカウトはこの点も確認します。
源泉徴収 10.21% の計算式
報酬扱いの場合、店が差し引く所得税および復興特別所得税は次の式で計算されます。
源泉徴収税額 =(報酬の額 − 5,000円 × 計算期間の日数)× 10.21%
ここで注意したいのが「計算期間の日数」です。これは出勤日数ではなく、給与計算の対象期間の暦日数を指します。8月1日〜8月31日締めなら31日です。出勤が10日でも、控除されるのは 5,000円 × 31日 = 155,000円 です。
たとえば計算期間30日で報酬60万円なら、(600,000 − 150,000) × 10.21% = 45,945円 が源泉徴収されます。
この時点では多めに引かれていることがほとんどです。だからこそ確定申告をすると還付(返金)になるケースが多くあります。
確定申告をすると戻ってくることが多い理由
源泉徴収は「とりあえずこのくらい」という概算です。実際の税額は、1年間の所得から各種控除を引いて計算し直します。
差が生まれるのは主にこの3つです。
- 基礎控除:令和7年分から原則58万円に引き上げられました。さらに令和7〜8年分は所得に応じた上乗せがあります(合計所得金額の区分に応じて95万円・88万円・68万円・63万円になる場合があります)
- 経費:報酬扱いなら、仕事のために使ったお金を差し引けます
- 社会保険料控除・生命保険料控除など:国民健康保険や年金を自分で払っている場合
結果として、源泉徴収された税額が本来の税額を上回っていれば、その差額が戻ってきます。申告しないと戻ってきません。
経費に入れられるもの・入れられないもの
報酬扱い(事業所得・雑所得)の場合、仕事のために使った費用は経費にできます。
入れやすいもの:
- ドレス、靴、バッグなど、仕事でのみ使うもの
- ヘアメイク代、美容室代(出勤日の分)
- 化粧品、まつげエクステ、ネイル
- 出勤の交通費(タクシー代含む)
- お客様へのプレゼント、同伴時の飲食代のうち自己負担分
- 名刺、営業に使う携帯代の一部
入れにくいもの:
- 私生活と兼用のもの(家賃、私服、普段使いのスマホ代の全額)
- 生活費全般
大事なのは 領収書を残すこと、そして家事按分(プライベートと仕事の割合で分ける)の考え方を持つことです。スマホ代なら「仕事で使う割合が5割だから半分だけ経費」といった具合です。
面倒に感じるかもしれませんが、レシートを封筒に入れておくだけでも1年後の自分が助かります。
「昼職の会社にバレる」の正体は住民税
ここが一番聞かれるところです。
副業がバレる最も多い経路は、勤務先に届く住民税の通知です。会社は従業員の給与から住民税を天引き(特別徴収)していますが、その税額は会社が把握している給与額から計算されるはずのもの。ナイトワークの分が上乗せされていると、金額の不自然さから気づかれる可能性があります。
対策として一般的に案内されるのが、確定申告書の住民税に関する記入欄で 「自分で納付(普通徴収)」を選択する 方法です。これを選ぶと、副業分の住民税の納付書が自宅に届き、自分で納めることになります。
ただし、次の点は理解しておいてください。
- 自治体の運用によっては、普通徴収を選んでも特別徴収に合算されることがあります
- 給与所得として扱われている収入は、普通徴収を選べない場合があります
- 心配な場合は、お住まいの市区町村の住民税課に直接電話で確認するのが最も確実です(匿名でも質問に答えてもらえます)
「絶対にバレない方法」は存在しません。そう断言する情報は疑ってください。
扶養に入っている方が気にすべきライン
学生の方や、配偶者の扶養に入っている方は、収入の額によって扶養から外れることがあります。
令和7年度の税制改正で、給与収入のみの方が所得税を負担し始めるラインは、いわゆる「103万円の壁」から 160万円 に引き上げられました。ただし、これは給与所得の場合の話です。報酬扱いの場合は給与所得控除が使えないため、同じ考え方はそのまま当てはまりません。
また、税金の扶養と社会保険の扶養は基準が別です。社会保険の扶養から外れると、国民健康保険と国民年金を自分で払うことになり、負担が大きく変わります。
扶養の範囲内で働きたい方は、面談時にその条件を伝えてください。 出勤日数と時給から逆算して、超えないシフトを店舗と調整します。
いつ、どうやって申告するか
- 対象期間:1月1日〜12月31日
- 申告期間:翌年の2月16日〜3月15日ごろ
- 方法:e-Tax(スマホで完結できます)/税務署に持参/郵送
- 必要なもの:支払調書または年間の明細、経費の領収書、マイナンバーカード、還付先の口座
還付だけを受ける申告(還付申告)は、期間より前でも受け付けてもらえます。
まとめ
- 自分の収入が「給与」か「報酬」かを確認する
- 報酬なら源泉徴収されているはずなので、明細を保管する
- 経費のレシートを1年分ためておく
- 確定申告する。多くの場合、税金が戻ってくる
- 会社に知られたくないなら、住民税の「自分で納付」を選び、不安なら自治体に確認する
税金の話は面倒ですが、知らないまま働いていると、本来戻ってくるはずのお金を毎年捨てることになります。
面談では、あなたの働き方(掛け持ちか、扶養内か、専業か)に合わせて、どの店舗の給与形態が向いているかも含めて整理します。税務そのものは専門家の領域なので断定はしませんが、「何を確認すべきか」は具体的にお伝えできます。
税金確定申告住民税掛け持ち